昨日の残りのカレーを温め直したら、明らかに昨日よりうまい。気のせいだろうと思っていたのですが、調べてみたらちゃんと理由がありました。
しかも理由はひとつではありません。
実は、3つの変化が同時に起きている
2日目のカレーがおいしくなる現象は、よく「味がなじむから」の一言でまとめられます。ただ実際には、鍋の中で性質の違う変化が並行して進んでいます。
- 具材から旨味と甘みが溶け出す
- 冷める過程で味が食材の内部に入る
- スパイスの角が取れて味がまとまる
順に見ていきます。
具材から溶け出して、味に厚みが出る
玉ねぎ、じゃがいも、肉。これらに含まれる成分は、時間の経過とともにルウのほうへ移っていきます。
特に働くのが玉ねぎです。加熱と時間経過によって甘みが強まり、全体の味に厚みを出します。じゃがいものでんぷんも少しずつ溶け出すので、とろみが増して口当たりが変わります。
同じ材料なのに「濃くなった」と感じるのは、実際に溶け出している成分が増えているからです。
味が染みるのは、加熱中ではなく冷めるとき
これは煮物と同じ原理です。
食材に煮汁が染み込むのは、火にかけているあいだではありません。温度が下がっていく過程で、食材の内部に煮汁が吸い込まれていきます。加熱中はむしろ食材から水分が出ていく方向に働きます。
一晩置いたカレーは、この「冷めていく時間」をたっぷり確保したことになります。作ってすぐ食べるカレーには、この時間がありません。
スパイスの角が取れる
作りたてのカレーは、スパイスの香りが立っています。ただしそれは、それぞれの香りが個別に主張している状態でもあります。
時間を置くと成分同士が混ざり合い、突出した刺激がやわらいで、まとまりのある味に変わります。
逆に言えば、香りのシャープさは1日目のほうが上です。「作りたてが好き」という人がいるのは好みの違いというより、そもそも別の食べ物になっていると考えたほうが近いかもしれません。
おまけ:2日目カレーには食中毒のリスクもある
おいしくなる一方で、注意も必要です。
カレーはウェルシュ菌という細菌が増えやすい条件がそろっています。この菌は熱に強い殻のような構造をつくるため、加熱しても完全には死滅しません。そして、加熱後に酸素が少なくなった鍋の中は、この菌にとって都合のいい環境です。
最悪のパターンが、鍋ごとコンロに放置して一晩置くやり方です。ちょうど菌が増えやすい温度帯に長くとどまってしまいます。
対策はシンプルで、食べ終わったら小分けにして、粗熱を取ったらすぐ冷蔵庫へ入れること。これだけでリスクは大きく下がります。
明日、こう話せる
カレーの話題が出たら「2日目がうまいのは気のせいじゃなくて、味が染みるのは煮てるときじゃなくて冷めるときだからなんだよ」と切り出せます。
そのあとに「ただ、鍋のまま常温で置くとウェルシュ菌が増えるから、食べ終わったらすぐ冷蔵庫に入れたほうがいい」と続けられると、話が一段実用的になります。
参考
- 厚生労働省 食中毒(ウェルシュ菌)に関する情報
- 農林水産省 家庭でできる食中毒予防
