世界一短い戦争は38分。最後通牒の期限から2分後に始まった

世界一短い戦争は38分。最後通牒の期限から2分後に始まった

戦争と聞くと、何年も続くものを思い浮かべます。第二次世界大戦は6年、百年戦争にいたっては名前のとおりです。

では世界一短い戦争は、どれくらいだったか。38分です。

目次

期限は午前9時、開戦は9時2分

1896年8月27日、東アフリカのザンジバルで起きた、イギリスとの衝突です。

きっかけは2日前にさかのぼります。イギリスと協調関係にあったスルタンのハマドが急死し、ハリド・ビン・バルガシュという人物が、イギリスの承認を得ないまま宮殿に入りました。

これを認めなかったイギリス側は、最後通牒を突きつけます。8月27日の午前9時までに旗を降ろして宮殿を去れ。さもなくば開戦する。

そして当日。

時刻できごと
午前9時00分最後通牒の期限。ハリドは動かず
午前9時02分イギリス艦隊が宮殿への砲撃を開始
午前9時40分ごろ宮殿が炎上し、旗が撃ち落とされる

期限のわずか2分後に始まり、38分後に終わった。 通勤電車に乗っているあいだに、戦争がひとつ終わった計算になります。

短かった理由は、単純な戦力差

理由は残酷なほどはっきりしています。装備の世代が、まるで違いました。

イギリス側は巡洋艦3隻に砲艦2隻、そして陸軍1,050名。対するザンジバル側は兵力こそ約2,800名でしたが、大砲は4門ほど。海から近代的な艦砲を撃ち込まれれば、宮殿はもちません。

そしてここが、38分という数字だけでは見えない部分です。この短い時間で、ザンジバル側は約500人が死亡または負傷しています。 イギリス側の被害は、負傷した下士官1人だけでした。

短いから軽い出来事だった、という話ではないんですね。

おまけ:ギネスの公式記録は「45分」

この戦争は、ギネス世界記録に「史上最短の戦争」として登録されています。ところがギネスの記載は午前9時から9時45分、つまり45分。有名な「38分」と合いません。

どこを始まりと終わりに取るかの違いです。砲撃命令が出た9時ちょうどを開戦とするか、実際に砲弾が飛んだ9時2分とするか。終戦も9時35分、9時40分、9時45分と資料が分かれます。

そのため38分、40分、45分という三つの数字が並存しています。世界一短い戦争は、その長さ自体がはっきりしていない。 据わりの悪い記録です。

明日、こう話せる

歴史の話や、ギネス記録の話題が出たときに使えます。

「世界一短い戦争って、どれくらいだと思う?」

たいてい「1週間くらい?」あたりが返ってきます。

「38分。1896年のイギリスとザンジバル。午前9時までに出ていけっていう最後通牒で、9時2分に砲撃が始まって9時40分には終わってる」

驚かれたところで、こう続けます。

「ただ、その38分で500人くらいが死傷してる。しかもギネスの公式記録だと45分で、数字が合ってない」

短さの話で始めて、中身の話で終える。その順番で話すと、雑学が少しだけ長持ちします。

参考

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この記事を書いた人

「どうせヒマなら」を運営している市田健人(いちだ けんと)です。東京でWeb制作とデザインの仕事をしながら、ベースケント合同会社(BASE KENT)の代表をしています。専門家ではありません。気になったことを調べて、裏が取れたものだけを書いています。定説が定まっていない話は「諸説あります」と正直に書く方針です。3分で読めて、誰かに話したくなる話を毎日ひとつ。暮らしとWeb制作の実用情報を扱う「Ex-TORANOMAKI」も運営しています。

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