オランダ人は背が高い。
これは事実です。男性の平均身長は183センチ前後で、国別の統計では世界のトップに立っています。日本人男性より10センチ以上高い。
私はこれを、生まれつきの体質のようなものだと思っていました。北の国の人は大きいのだろう、と。
ところが200年前の記録を見ると、話がまるで違います。
当時のオランダ人は、ヨーロッパの中でも背が低いほうでした。
19世紀の平均身長は165センチ前後
19世紀のオランダ人男性の平均身長は、165〜168センチほどだったと記録されています。
当時のヨーロッパでは、むしろ小柄な部類です。「高身長の国」というイメージは、どこにもありませんでした。
そこから150年ほどで、約20センチ伸びています。
数字だけ見ると実感が湧きにくいので、言い換えてみます。江戸時代の日本人が、今の日本人になったようなもの。それが150年で起きた、ということです。
伸びたのは体質ではなく、暮らしが変わったから
きっかけは1840年代以降の変化だとされています。
栄養状態が良くなり、衛生環境が整い、子どもが病気で命を落とすことが減った。育つ条件がそろったわけです。
意外だったのは、「牛乳の国」というイメージが定着したのは20世紀に入ってからだという点でした。19世紀の食生活は質素で、たんぱく質もカルシウムも足りていなかったと言われています。
背が高いから酪農が盛んなのではなく、酪農が盛んになったから背が伸びた。順番が逆だったんですね。
ちなみに、背の高い人ほど子どもの数が多い傾向があった、という研究もあります。栄養だけでなく、そうした選択も効いていた可能性が指摘されています。
おまけ:今度は縮みはじめている
もっと意外なのは、ここから先です。
オランダ人の身長の伸びは近年止まり、1980年代生まれ以降はむしろ低くなっているという調査結果が出ています。
理由ははっきりしていませんが、栄養状態の改善がすでに頭打ちになったことや、人口構成の変化などが挙げられています。
つまり「オランダ人は世界一背が高い」という常識も、永遠ではないということです。150年かけて手に入れた1位は、案外あっさり動くのかもしれません。
明日、こう話せる
身長の話題が出たときに使えます。
「オランダ人って世界一背が高いけど、200年前はヨーロッパで一番低いくらいだったんだよ」
相手が「え、そうなの」となったら、続けます。
「150年で20センチ伸びたんだって。栄養と衛生が良くなっただけ。体質じゃなくて環境の話」
とどめに「しかも最近は縮みはじめてるらしい」と足すと、たいてい二度驚かれます。
