あくびは、眠いときに出るもの。
そして誰かのあくびを見ると、つられて自分も出てしまう。どちらも、人がいる場所で起きることですよね。
生まれる前の胎児も、あくびをしています。
そもそも「あくびなのか」が論争だった
2012年に発表された研究があります。
出発点が意外でした。胎児があくびをするという報告はあったのですが、「あれはただ口を開けているだけだ」という反論があり、決着していなかったのです。
そこで英ダラム大学のナディア・ライスランドさんらは、健康な胎児15人を対象に、24週、28週、32週、36週の4回、4D超音波で顔と上半身を動画撮影しました。
区別の決め手にしたのが、時間です。
口が開ききるまでに、どれだけかけているか。観察した時間の半分を超えてゆっくり開くものを「あくび」と定義しました。
結果、両者ははっきり区別できました。胎児は確かに、あくびをしていたわけですね。
しかも24週の時点では、口の開きの半分以上があくびでした。ただ口を開けているほうが少数派だったことになります。
回数は、週を追うごとに減っていく
もうひとつ分かったのが、頻度の変化です。
- あくび … 28週から減りはじめる
- 単なる口の開閉 … 頻度が低く、24週から減りはじめる
つまりお腹の中にいるあいだのほうが、よくあくびをしている。生まれてからのほうが少ないことになります。
男女の差はありませんでした。
ただし、いつから始まるのかはこの研究では分かりません。観察の開始が24週だったからです。論文が引く先行研究には、妊娠3か月の終わりごろから報告があるという記述や、20週の症例報告もありました。
研究チームは、あくびの回数が健やかな発達をはかる目安として使えるかもしれない、と述べています。
おまけ:うつるあくびは、5歳まで効かない
ここで疑問が浮かびます。お腹の中には、見て真似する相手がいません。
論文もその点にはっきり触れていました。伝染は、胎児のあくびの理由にはなりえない、と。
研究を率いたライスランドさんは、こう述べています。胎児のあくびは伝染ではないし、眠いからあくびをするのでもない。むしろ、妊娠の早い時期における脳の成熟に関係しているのかもしれない、と。
体を動かすこと自体が脳を育てる、という見方ですね。
論文に紹介されていた話を、もうひとつ。
子どもは5歳ごろまで、あくびの伝染に対して免疫があるのだそうです。目の前で大人があくびをしても、つられない。うつるようになるのは、そのあとから。
一方、大人はよほど弱いようです。論文が引く報告では、あくびについて考えたり読んだりするだけで、およそ60パーセントの割合で出るとのこと。
……いかがでしょうか。ここまで読むあいだに、出ませんでしたか。
明日、こう話せる
誰かがあくびをしたときが出番です。
「あくびって、生まれる前からしてるらしいよ」
たいてい「お腹の中で?」と返ってきます。
「4D超音波で撮った研究があってね。口がゆっくり開くかどうかで、あくびとただの口の開閉を区別したんだって。しかも週が進むほど減っていく」
そして最後にこれを足します。
「うつるあくびのほうは、5歳くらいまで効かないらしい。大人は、あくびの話をしてるだけで出ちゃうのに」
言った直後に相手があくびをしたら、それが証拠になります。
