信号機は、横に3つ並んでいる。
左から青、黄、赤。見慣れた形ですよね。ところが北へ行くと、これが縦に変わります。北海道や青森で初めて見たとき、妙な気分になった覚えがあります。
雪のためです。ただし、元祖は縦のほうでした。
上から見た面積が、小さいほどいい
理由は単純でした。上面の表面積です。
横型は上から見たときの面積が広い。そこへ雪が降り積もると、こんもりと乗ってしまいます。灯火が隠れれば、信号機として役に立ちません。
縦型なら、上から雪を受ける部分が小さくて済む。積もる量そのものが減るわけですね。
採用されているのは、北海道、青森や秋田といった東北、それに新潟や長野の一部。どこも豪雪地帯です。
では、縦に並べるのは特例なのか。法令を見ると、そうではありませんでした。
道路交通法施行令の第3条に、配列の決まりがあります。横に並べる場合は右から赤・黄・青の順、そして縦に並べる場合は上から赤・黄・青の順。
最初から、両方が書いてあるのです。縦型は例外扱いではありませんでした。
日本で最初の信号機は、縦だった
もっと意外なことがあります。
長野県警の説明によれば、電気を使った信号機が日本に初めて置かれたのは1930年、東京の日比谷交差点でした。
この信号機、アメリカから輸入されたものだったのですが、形が問題です。
上から赤・黄・青が並ぶ、縦型でした。
つまり日本の信号機は、縦から始まっています。そのあとで横型が主流になり、雪国にだけ最初の形が残った。雪国が特別なのではなく、都会のほうが乗り換えたということになりますね。
ちなみに警察庁のデータでは、2020年時点で全国に20万7848基。最も多いのは東京都の1万5984基で、次が愛知県、そして北海道が1万2984基と続きます。
おまけ:薄型にしたら、別の問題が出た
いま広まっているのが、LEDを使った薄型フラット信号機です。警察庁も設置を推奨しています。
メーカーによれば、利点はいくつもあります。軽い。設置しやすい。保管場所が小さくて済む。そして庇がないので強風にも強い。
ところが、弱点も見つかりました。
LEDは発熱が少ない。おかげで省エネなのですが、一度でも灯火の面に雪が張り付くと、なかなか溶けないのです。
大雪や横殴りの雪のときには、灯火が一時的に見えなくなるトラブルも起きたそうです。いまは発熱体を仕込むなどの対策が進められています。
雪が積もらない形を目指したら、今度は張り付いた雪が溶けなくなった。うまくいかないものですね。
明日、こう話せる
雪国へ行ったときや、その話題が出たときが出番です。
「北海道の信号機って、縦に並んでるの知ってる?」
たいてい「雪が積もるから?」と返ってきます。正解です。上から見た面積が小さいほど、雪が乗らない。
「でも面白いのはここからで、日本で最初の信号機も縦だったんだよ。1930年の日比谷。アメリカから輸入したやつ」
そして最後にこれを足します。
「つまり雪国だけ元の形が残ってる。横型にしたのは、あとから出てきたほうなんだよね」
当たり前のほうが新参者だった。そういう逆転は、何度聞いても気持ちがいいものです。
