シマウマの縞はアブよけだった。牛に描いたら虫が半分に減った

シマウマの縞はアブよけだった。牛に描いたら虫が半分に減った

シマウマは、なぜあんな模様をしているのか。

草原で敵の目をくらますため。子どものころ、そう教わった記憶があります。白と黒がちらついて、ライオンから狙いを定められにくくなる、と。

分が悪い説です。いま有力なのは、虫よけです。

目次

カモフラージュ説は、証拠が出てこなかった

縞模様の理由については、昔からいくつも説が並んできました。

分の悪さ
捕食者へのカモフラージュ縞とライオンの頭数に相関が見つからなかった
体温調節のため実験による裏づけが乏しい
吸血性のアブよけ近年、実験の証拠が増えている

カリフォルニア大学デービス校の調査では、シマウマの縞模様とライオンの数のあいだに、関係が見つかりませんでした。

そもそも草原で白黒はよく目立ちます。隠れるための模様だとすると、少し無理があるんですね。

馬に縞のコートを着せてみた

では、虫よけ説はどう確かめられたのか。

2019年、イギリスのブリストル大学とカリフォルニア大学デービス校の研究者たちが、普通の馬に縞模様の布をかけるという実験をしました。

同じ馬です。布を変えるだけ。

結果、縞の布をかけたときは、アブがとまる回数が減りました。

面白いのはここからで、白黒のチェック柄やランダムに並べた正方形でも効果が出ています。つまり縞である必要すらなかった。強いコントラストの模様が、虫の着地を邪魔しているらしいのです。

なぜ邪魔になるのかは、実はまだはっきりしていません。着地の直前で距離をつかめなくなる、といった説明が試みられている段階です。

おまけ:牛に描いたら、虫が半分になった

この話には、日本発の続きがあります。

農研機構の兒嶋朋貴研究員らのチームが、黒毛和牛の体に白い塗料でしま模様を描きました。

そして寄ってくるハエやアブの数を数えたところ、通常の黒い牛にくらべて吸血昆虫が約半分になったのです。

この研究は、2025年のイグ・ノーベル賞(生物学賞)を受賞しました。授賞式は同年9月、ボストン大学。日本人の受賞は19年連続だそうです。

牛を白黒に塗るという絵面はふざけて見えますが、牧場にとって吸血昆虫は深刻な問題です。牛が刺されると落ち着かず、餌を食べる量も減ります。薬に頼らず虫を減らせるなら、意味は小さくありません。

笑える見た目と、真面目な成果。イグ・ノーベル賞らしい研究だと思います。

明日、こう話せる

動物園の話や、動物番組の話題が出たときに使えます。

「シマウマの縞って、カモフラージュのためじゃないらしいよ」

たいてい「じゃあ何」と返ってきます。

「虫よけ。馬に縞のコート着せる実験があって、アブがとまる回数が減ったんだって。白黒のチェック柄でも効いたらしい」

そして最後にこれを足します。

「日本の研究者が牛を白黒に塗ってみたら、寄ってくる虫が半分になって、イグ・ノーベル賞取ってる」

シマウマの話が、いつのまにか白黒に塗られた和牛の話になる。話の落ち方としては悪くありません。

参考

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この記事を書いた人

「どうせヒマなら」を運営している市田健人(いちだ けんと)です。東京でWeb制作とデザインの仕事をしながら、ベースケント合同会社(BASE KENT)の代表をしています。専門家ではありません。気になったことを調べて、裏が取れたものだけを書いています。定説が定まっていない話は「諸説あります」と正直に書く方針です。3分で読めて、誰かに話したくなる話を毎日ひとつ。暮らしとWeb制作の実用情報を扱う「Ex-TORANOMAKI」も運営しています。

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