ハトが歩くたびに首を振るのは、景色を止めて見るため

ハトが歩くたびに首を振るのは、景色を止めて見るため

ハトが歩くとき、首を前後に振ります。

歩調に合わせてリズムを取っているように見える、あの動きです。私はずっと、歩くのに必要なバランス調整か何かだと思っていました。

実際にやっていることは、まるで逆でした。

首を振っているのではなく、首を止めているんです。

目次

首は「先に出して、そこで固定」されている

動きをコマ送りで見ると、こうなっています。

  1. 首をすばやく前に突き出す
  2. その位置で首を止める
  3. 体が歩いて、首に追いつく
  4. また首を前に出す

つまり、首が止まっている時間のほうが圧倒的に長い。体は前に進んでいるのに、頭は空間の同じ場所に留まり続けています。

三脚に固定したカメラを、少しずつ前に置き直しているような動きです。

視界が流れると、餌も敵も見えない

なぜそんな面倒なことをするのか。景色を止めて見るためです。

ハトの目は頭についています。頭が体と一緒に前へ進めば、視界はずっと流れ続けます。

流れる景色の中から、地面に落ちた小さな餌を見つけるのは大変です。近づいてくる猫にも気づきにくい。

そこで頭だけを空間に固定して、静止した映像を確保する。見終わったら、また頭を前に送る。歩きながら、一歩ごとに写真を撮り直しているような見方です。

おまけ:景色が動かないと、首を振らなくなる

この説明を裏づける、面白い観察があります。

ハトをトレッドミルの上で歩かせ、周囲の景色が変わらない状況をつくると、首を振る動きが起きにくくなることが報告されています。

移動しているのに景色が流れないなら、頭を固定する必要がない。つまりあの動きは、歩行のためではなく視覚のためだったことになります。

ちなみに同じ仕組みは他の鳥にもあります。ニワトリの体をそっと動かしても、頭だけがその場に残ろうとする。動画で見ると、少し不気味なくらい正確です。

明日、こう話せる

駅前やコンビニの前で、ハトを見かけたときが出番です。

「あれ、首を振ってるんじゃなくて、止めてるんだよ」

相手が「え?」となったところで説明します。

「頭を先に出して固定して、体があとから追いつく。景色がブレると餌が見つけられないから」

このあと、たぶん二人でしばらくハトを凝視することになります。それも含めていい雑学です。

参考

  • 鳥類の頭部安定化(head bobbing)に関する動物行動学の解説
  • ハトの歩行と視覚の関係を調べた実験の紹介記事
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この記事を書いた人

「どうせヒマなら」を運営しています。専門家ではありません。気になったことを調べて、裏が取れたものだけを書いています。定説が定まっていない話は「諸説あります」と正直に書く方針です。3分で読めて、誰かに話したくなる話を毎日ひとつ。東京でWeb制作とデザインの仕事もしています。

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