1秒はセシウム原子が91億9263万1770回ふるえる時間

1秒はセシウム原子が91億9263万1770回ふるえる時間

1秒とは何か。

1日を24で割って、60で割って、さらに60で割ったもの。86400分の1日。学校でそう習った記憶があります。

いまは違います。基準は地球ではなく、原子です。

目次

地球は、時計としては頼りなかった

もともと1秒は、地球の自転から作られていました。1回転を86400等分する。素朴で分かりやすい決め方です。

ところが、20世紀に入って問題が見つかります。

地球の自転は、一定ではありませんでした。

潮の満ち引きによる摩擦などで、自転はごくわずかに遅くなっていきます。しかも速くなったり遅くなったりの揺らぎもある。

基準にしていたものが、じつは動いていたわけですね。ものさしのほうが伸び縮みしていたと言い換えてもいい。

1956年には、いったん地球の公転を基準にする定義へ移りました。ただし、これも根本的な解決にはなりませんでした。

原子のふるえを数えることにした

そこで1967年、国際的な会議が新しい定義を採用します。

セシウム133という原子を基準に据えました。

この原子は、ある決まった振動数のマイクロ波を出したり吸ったりします。その波が何回くり返されるかを数えて、1秒とする。回数はこう決められました。

9192631770回。

読み下すと、91億9263万1770回です。この回数ぶんの時間が、1秒。

時代1秒の基準
古くから地球の自転(1日の86400分の1)
1956年〜地球の公転
1967年〜セシウム133原子の振動

なぜセシウムなのか。天然にはこの1種類しか存在せず、扱いやすい温度で気体になり、しかもどの原子も個体差がないからです。世界のどこで測っても同じ答えが出る。基準にするには、うってつけでした。

いま私たちが使っている時計は、元をたどるとこの原子につながっています。

おまけ:1秒は、また変わるかもしれない

面白いのは、これで終わりではないことです。

現在は、セシウムよりさらに精度の高い光格子時計などが実用に近づいています。数十億年に1秒しかずれない、という桁の精度です。

そのため、2030年ごろに1秒を定義し直す議論が進められています。

測る道具が良くなるたびに、1秒の意味は書き換えられてきた。地球から原子へ、そして次の何かへ。

動かないものの代表みたいな顔をして、実は何度も引っ越している単位なんですね。

明日、こう話せる

時計の話や、遅刻の話が出たときに使えます。

「1秒って、どうやって決まってるか知ってる?」

たいてい「1日を割ったやつでしょ」と返ってきます。昔はそうでした。

「地球の自転って一定じゃないから、基準にできないんだって。いまはセシウムって原子が91億9263万1770回ふるえる時間が1秒」

そして最後にこれを足します。

「しかも、もっと正確な時計ができたから、2030年くらいにまた定義を変える話が出てる」

いちばん当たり前だと思っていた単位が、いちばん揺れている。そこが面白いところです。

参考

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この記事を書いた人

「どうせヒマなら」を運営している市田健人(いちだ けんと)です。東京でWeb制作とデザインの仕事をしながら、ベースケント合同会社(BASE KENT)の代表をしています。専門家ではありません。気になったことを調べて、裏が取れたものだけを書いています。定説が定まっていない話は「諸説あります」と正直に書く方針です。3分で読めて、誰かに話したくなる話を毎日ひとつ。暮らしとWeb制作の実用情報を扱う「Ex-TORANOMAKI」も運営しています。

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