オリンピックの金メダル。
表彰台のいちばん上で、首にかけてもらうあれです。さすがに全部が金ではないだろう、とは思っていました。では、どれくらい入っているのか。
6グラムです。中身は銀でできています。
規定は「銀に、金を張る」
1996年版のオリンピック憲章には、メダルの仕様がはっきり書かれていました。
| 項目 | 規定 |
|---|---|
| 1位と2位のメダル | 純度1000分の925以上の銀製 |
| 1位のメダル | さらに6グラム以上の純金で金張り、またはメッキ |
| 大きさ | 直径60ミリ以上、厚さ3ミリ以上 |
つまり金メダルの本体は、銀です。そこに薄く金をかぶせている。
6グラムというと、1円玉6枚ぶんの重さです。1円玉はちょうど1グラムなので、手に乗せるとすぐ分かります。あの立派な見た目からすると、ずいぶん控えめな量ですね。
なお2004年版以降の憲章では、こうした細かい数字は省かれ、仕様とデザインをIOCに提出して承認を得ることという書き方に変わっています。それでも「銀に金メッキ」という作り方自体は、今の大会でも続いています。
純金だったのは1912年まで
では、昔は純金だったのか。
はい。ただし、それも短い期間でした。純金製の金メダルが贈られた最後の大会は、1912年のストックホルム大会です。ギネス世界記録にも「最後のオリンピック金メダル」として登録されています。
やめた理由のひとつが、金の柔らかさでした。
純金はとても柔らかい金属です。噛めば歯形がつくほどやわらかく、落としたり押さえたりするだけで形が歪んでしまう。一生残る記念品としては、扱いにくい素材だったわけですね。
選手がメダルを噛むポーズをしますが、あれを本物の純金でやっていたら、けっこうな傷が残ったはずです。
おまけ:第1回大会に、金メダルはなかった
もう一段さかのぼると、話はさらに変わります。
1896年、アテネで開かれた第1回の近代オリンピック。このとき優勝者に贈られたのは、銀メダルでした。2位は銅メダルです。
理由は「金はあまりにも貴重すぎる」と考えられたから。
つまり金メダルが1位の証になったのは、あとから決まったことでした。いちばん上が金、という順番すら、最初からあったわけではない。
当たり前に見える序列も、たどっていくと誰かが決めた時点があります。そこが面白いところです。
明日、こう話せる
オリンピックの中継を見ているときや、表彰式の話題で使えます。
「金メダルって、金が何グラム入ってると思う?」
たいてい「けっこう入ってそう」くらいの反応です。
「6グラム。本体は銀で、そこに金を張ってるだけなんだよ。憲章にそう書いてあった」
そして最後にこれを足します。
「しかも第1回のアテネ大会は、優勝者が銀メダル。金は貴重すぎるってことで使われてなかった」
数字で驚かせて、歴史でもう一度ひっくり返す。表彰台を見ながら話せる持ちネタになります。
