アーモンド、カシューナッツ、クルミ。
ナッツの詰め合わせに入っている、あの茶色い粒です。木の実、という大きなくくりで覚えていました。
植物としては、桃や梅の仲間です。
梅の実を割ると、同じ構造が出てくる
アーモンドはバラ科サクラ属。アンズやモモ、ウメの近縁種です。
実のなり方も、ほとんど同じでした。7月から8月にかけて、梅に似た形の実をつけます。
ただし、食べられるところが違います。梅や桃は果肉を食べますよね。アーモンドの果肉は薄くて、食用になりません。
では何を食べているのか。果肉の内側にある硬い殻、その中身です。
梅干しの種を割ると、白っぽい中身が出てきます。位置としては、あれとまったく同じ場所。私たちはアーモンドの「種の中身」をかじっていたわけですね。
花も桜によく似ています。3月から4月にかけて、葉のない枝に白や桃色の花を咲かせる。
ただし桜と違って、花をつける軸が非常に短い。枝に沿うように咲くので、見た目は桃の花に近くなります。
収穫も変わっています。実が自然に落ちないため、ツリーシェイカーという機械で木を揺さぶって落とすのだそうです。桜の木を抱えて揺さぶる光景を想像すると、少し乱暴に思えますね。
原産は中央アジアのあたり。いまいちばん多く作っているのは、アメリカのカリフォルニア州です。
和名は「扁桃」。あの扁桃腺の扁桃
日本では古く、アーモンドをヘントウ(扁桃)と呼んでいました。
もうひとつ、ハタンキョウ(巴旦杏)という呼び名もあります。杏の字が入っているあたり、仲間であることが名前に出ていますね。
それにしても扁桃という字、どこかで見たことがありますよね。
漢字ペディアで「扁桃腺」を引くと、こう書かれています。のどの奥にある、楕円形をした左右一対のリンパ組織。そして語源として、「扁桃」はアーモンドのことで、その核に形状が似ていることから、と。
つまり扁桃腺は「アーモンド腺」でした。
のどの奥にある、あのぷっくりした組織。形が似ているから、そのまま名前にした。言われてみれば、たしかにあの粒の形です。
子どものころ「扁桃腺が腫れた」と言われるたび、何の桃だろうと思っていました。桃ではなく、アーモンドだったわけですね。
おまけ:脳にも、アーモンドがある
名前を借りた器官は、もうひとつあります。
脳の扁桃体です。
英語では amygdala。ギリシャ語でアーモンドを意味する言葉から来ています。側頭葉の奥にあって、恐怖や情動に関わる部位として知られていますね。
理由はやはり、形がアーモンドに似ているからです。
のどに1組、脳に1組。体の中に、アーモンドの名を持つ器官が2種類あることになります。
ちなみに扁桃腺のラテン語名については、アーモンドではなく、一対のオールに見立てたという別の説もあるようです。そちらはそちらで、なかなか詩的ですね。
明日、こう話せる
ナッツをつまんでいるときが出番です。
「アーモンドって、ナッツじゃないの知ってる?」
たいてい「ナッツでしょ」と返ってきます。袋にもそう書いてありますし。
「植物としては桃とか梅の仲間なんだって。実の果肉は薄くて食べられなくて、種の中身を食べてる」
そして最後にこれを足します。
「しかも和名が『扁桃』。扁桃腺の扁桃って、アーモンドのことなんだよ。形が似てるから」
食べているものと、自分ののどがつながる。覚えたら忘れない話です。
