1分は60秒。
子どものころに習って以来、疑ったことがありませんよね。59秒の次は、次の分の0秒です。
ところが「59分60秒」という時刻が、これまでに27回ありました。
その仕組みが、今月なくなった
うるう秒という調整です。
1秒の長さは、セシウム原子の振動をもとに決まっています。一方、地球の自転には細かいぶれがある。放っておくと、原子時計の時刻と空の動きがずれていきます。
そこで、ずれが0.9秒を超えないように1秒を足す。1972年に始まり、これまで27回行われました。
直近は日本時間の2017年元日。午前8時59分59秒のあとに、8時59分60秒が差し込まれています。
この仕組みが、2026年10月15日に廃止と決まりました。フランスのベルサイユで開かれた国際度量衡総会での決議です。適用は2027年5月20日、世界計量記念日から。
やめた理由は、地球が速くなってきたから
理由が意外でした。
長いあいだ、地球の自転は遅くなる一方でした。だからうるう秒は、27回すべてが「1秒を足す」調整だったのです。
ところが2000年以降、その減速が鈍ります。そして2020年以降は、逆に速まっている。
このままだと、いずれ必要になるのが逆の操作です。1秒を引く。いわゆる負のうるう秒ですね。
これが怖い。一度も実行されたことがないからです。
1秒を足すだけでも、通信やシステムの誤作動が心配されてきました。前例のない「引く」を世界中が同時にやれば、何が起きるか分かりません。しかも自転の変化は予測が難しい。
だったら、仕組みごとやめよう。そういう判断でした。
おまけ:数百年後の人類に、宿題を投げた
とはいえ、ずれが消えるわけではありません。
変えたのは許容範囲のほうです。0.9秒だったものを、3600秒。つまり1時間まで広げました。たまってきたら「うるう時」としてまとめて調整します。
では最初のうるう時はいつか。数百年から1000年後の見込みだそうです。
産業技術総合研究所の研究者が、決定前の会見でこう話していました。各国の時差はだいたい1時間おきで、欧米にはサマータイムもあり、人は1時間の移動に慣れている。中途半端に2、3分ずれるより分かりやすい、と。
そして、こう続けています。
数世紀先の人類はもっと賢く、問題をスマートに解決するだろう。こうした希望から、このような提案がなされた。
先送りと言ってしまえばそれまでですが、ずいぶん前向きな先送りですね。
ちなみに同じ総会では、月面活動で使う国際的な基準時を検討することも決まったそうです。時計の話は、もう地球の外まで広がっています。
明日、こう話せる
時計を見たときが出番です。
「59分60秒って時刻、実際にあったの知ってる?」
たいてい「ないでしょ」と返ってきます。
「うるう秒っていって、地球の自転とのずれを直すために1秒足してたんだよ。27回あって、最後は2017年の元日」
そして最後にこれを足します。
「それが今月やめることに決まってね。地球の自転が最近は速くなってて、今度は1秒引かなきゃいけなくなりそうだったから。やったことないから危ないって」
決まったばかりの話なので、しばらくは新鮮に使えます。
