電話の自動音声で「シャープを押してください」と言われます。
キーボードでも、あの記号を「シャープ」と呼ぶ人がほとんどです。私もそう覚えていました。
ところがこれ、音楽のシャープとは別の記号なんです。
線の傾きが、逆になっている
並べて見ると、違いがはっきりします。
| 記号 | 縦線 | 横線 | |
|---|---|---|---|
| ナンバー記号 | # | 斜め | 水平 |
| 音楽のシャープ | ♯ | 垂直 | 右上がり |
「#」は横線がまっすぐで、縦線が斜めに傾いています。「♯」はその逆で、縦線がまっすぐ、横線が右上がりです。
言われてから見ると、たしかに違う。文字コードの上でも別の記号として登録されていて、まったく違う出自を持っています。
「#」はもともと、重さの記号だった
「#」の起源は、ラテン語で重さの単位を表す libra pondo の略記「lb」にあるとされています。
lbに横線を引いた書き方が、書き崩されるうちに今の形になった、という流れです。
だから英語では number sign や pound sign と呼ばれます。番号や重さを表す記号であって、音楽とは何の関係もありません。
一方の「♯」は、音を半音上げる楽譜の指示記号です。こちらは音楽の世界で独立して生まれました。似ているのは、まったくの偶然です。
おまけ:呼び名は国によってバラバラ
では、なぜ日本では「シャープ」と呼ぶのか。
形が似ていたうえに、電話の普及期に「井桁(いげた)」という呼び方が定着しなかったため、耳になじむシャープが選ばれた、と説明されることが多いようです。
ちなみに、SNSのハッシュタグの「ハッシュ」は、この記号の英語圏での呼び名から来ています。同じ記号なのに、日本ではシャープ、英語圏ではハッシュやパウンド。
つまり日本人は、シャープタグではなくハッシュタグと呼んでいる。よく考えると、少しちぐはぐな話です。
明日、こう話せる
電話の自動音声を聞いた直後が、いちばん自然です。
「今シャープって言ってたけど、あれ本当はシャープじゃないんだよ」
相手が「え、違うの」となったら、比べさせます。
「音楽のシャープは縦線がまっすぐで、電話のは横線がまっすぐ。もともと重さの単位の記号だったんだって」
そのあと「ハッシュタグのハッシュも同じ記号のこと」と足すと、身近な話に着地します。
参考
- 番号記号(#)および嬰記号(♯)に関する記号・文字コードの解説
- 記号の由来に関する英語圏の辞書記述
