ペンギンのよちよち歩き。
あの独特な歩き方は、脚が短いからだと思っていませんか。ずんぐりした体に、小さな足がちょこんと付いている。私もそういう生き物だと思っていました。
脚、長いです。ただ、ほとんどが体の中に入っています。
見えているのは、脚の先だけ
水族館の骨格標本を見ると、たいていの人が同じ感想を持つそうです。
「ペンギンって脚、長っ」
新江ノ島水族館の解説によれば、生きたペンギンで見えているのは脚のほんの下のほうだけ。私たちでいう膝にあたる部分は、体の中に入っています。
整理すると、こうなります。
| 部位 | どこにあるか |
|---|---|
| 太もも・膝 | 体の中。羽毛と皮下脂肪に隠れている |
| すね | 大部分が体の中 |
| 「脚」に見えている部分 | 足の甲から先にあたる骨 |
つまりペンギンは、膝を深く曲げた状態のまま立ち続けているわけです。
人間でいえば空気椅子です。生まれてから死ぬまで、ずっとあの姿勢。想像すると、なかなかの重労働に思えてきます。
体の中にしまうと、速く泳げる
ではなぜ、わざわざ脚を折りたたんでいるのか。
答えは水にあります。
水の中は、空気とは比べものにならないほど抵抗が大きい。体の表面に出っぱりがあるだけで、それがブレーキになります。
だから脚を体の内側に収納して、なめらかな形にしてしまう。市立しものせき水族館「海響館」の解説では、この形を「マグロに翼が生えた」と表現していました。うまい言い方だと思います。
陸で歩きにくいのは、その代償ですね。泳ぎやすさを取って、歩きやすさを捨てている。 あのよちよち歩きは、水中仕様の副作用なのです。
おまけ:首も、体の中に隠れている
隠れているのは脚だけではありません。
首もです。
骨格を見ると、ペンギンの首は見た目よりずっと長い。羽毛と脂肪の下に、しっかりした長さの首が畳み込まれています。
脚も首も体に収めて、全身を一本の流線形にまとめる。あのころんとしたシルエットは、太っているのではなく畳まれているのだと分かると、見え方が変わります。
機会があれば、水族館でペンギンの骨格標本を探してみてください。あの姿からは想像できない、細長い鳥が立っています。
明日、こう話せる
水族館の話や、動物の話題が出たときに使えます。
「ペンギンって脚短いよね」
そう言われたら、ここで返します。
「あれ短いんじゃなくて、体の中に入ってるんだって。膝は羽の下でずっと曲がってて、空気椅子みたいな姿勢で立ってるらしいよ」
たいてい「ずっと?」と聞き返されます。ずっとです。
そのあと「首も同じで、体の中に畳まれてる。骨格標本だと全然違う鳥に見える」と足すと、次に水族館へ行ったとき確実に思い出してもらえます。
