スーパーの鮮魚コーナーに、牡蠣が2種類並んでいます。
「生食用」と「加熱用」。値段は生食用のほうが高い。
だから私は長いこと、生食用が新鮮で、加熱用は少し落ちるものだと思っていました。鍋に入れるときも、なんとなく生食用を選んでいたくらいです。
これ、まったくの勘違いでした。
分かれ目は「どこの海で育ったか」
牡蠣は海水を吸い込み、プランクトンを漉し取って食べています。1日に何百リットルも吸っているので、海水中の細菌も一緒に取り込みます。
生食用として売れるのは、次のどちらかを満たしたものだけです。
- 保健所が指定した、細菌の少ない海域で獲れたもの
- 一定期間、滅菌した海水などで浄化処理をしたもの
加熱用は、この条件を満たしていないだけ。今朝獲れたばかりでも、指定海域の外なら加熱用として売られます。
逆に、生食用が必ず新しいとも限りません。鮮度の話ではないんですね。
鍋に入れるなら、加熱用のほうがいい
ここからは実用の話です。
浄化処理の間、牡蠣は餌を食べられません。数日間、絶食させられているようなものです。
そのため身が痩せて、旨味が抜けることがあります。加熱調理するなら、加熱用のほうが身が大きくて味が濃い、という状況が普通に起こります。しかも安い。
牡蠣フライや鍋のために高い生食用を買っていた自分に、教えてやりたい話です。
おまけ:加熱用を生で食べてはいけない
念のため書いておきます。
見た目がどれだけ新鮮でも、加熱用を生で食べるのは避けてください。適用されている細菌の基準がそもそも違います。
「新しそうだから大丈夫」という判断が通用しない。表示は鮮度ではなく、育ちを示している。 それがこのラベルの本質です。
明日、こう話せる
スーパーで牡蠣の前に立っているときが、一番効きます。
「加熱用って古いやつだと思われがちだけど、実は獲れた海の違いなんだよ」
「生食用は浄化する間エサ食べられないから、逆に身が痩せてることもあるらしい」
そして「鍋なら加熱用のほうが大きくて安い」で締めると、雑学がそのまま夕飯の判断に変わります。話して喜ばれるのは、たいていこういう話です。
参考
- 食品衛生法にもとづく生食用かきの規格基準
- 各自治体・水産関係機関による生食用かきの取り扱いに関する解説
